
熱中症搬送者数が過去最多に。職場で進めたいWBGT(暑さ指数)管理と夏前対策
みなさま、こんにちは。
職場での熱中症対策が法律で義務化されてから1年となります。みなさまの職場では、真夏に向けた対策や、日々の運用の見直しは進んでいますか?
令和7年は、多くの地方で統計開始以降最も早い梅雨明けとなり、夏の日本の平均気温も過去最高となりました。厳しい暑さが長く続いた結果、5月から9月までの熱中症による全国の救急搬送人員は100,510人にのぼり、平成20年の調査開始以降、過去最多となりました。

出典:総務省『令和7年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況』
このような状況を踏まえると、熱中症対策は「暑くなってから考えるもの」ではなく、真夏を迎える前から準備しておくべき重要な安全対策といえます。
近年の夏は、屋外作業だけでなく、工場・倉庫・物流センターなどの屋内作業でも熱中症リスクが高まっています。空調が効きにくい場所、発熱する設備の近く、直射日光や照り返しの影響を受ける場所では、気温だけでは判断しきれない暑さへの注意が必要です。
労働安全衛生規則の改正で求められる熱中症対策
2025年6月1日から、職場における熱中症対策を強化するため、改正労働安全衛生規則が施行されました。改正の目的は、熱中症の重篤化を防ぐことです。対象となる暑熱環境下の作業では、事業者に対して体制整備や手順作成、関係作業者への周知が求められています。
対象となるのは、
「WBGT28度以上又は気温31度以上の環境下で
連続1時間以上又は1日4時間を超えて実施」が見込まれる作業
事業者に求められる主な対応は、次の3つです。
• 報告体制の整備
熱中症の自覚症状がある作業者や、周囲で異変に気づいた人が、速やかに報告できる体制を整える。
• 関係作業者への周知
報告体制や対応手順を、実際に作業に関わる人へ周知し、いざという時にすぐ行動できる状態にしておく。
• 対応手順の作成
作業からの離脱、身体冷却、医療機関への搬送、緊急連絡など、重篤化を防ぐための手順をあらかじめ定めておく。
熱中症対策は、ルールを整備して終わりではありません。現場の暑さを把握し、休憩、水分・塩分補給、作業時間の見直し、異常時対応につなげていくことが重要です。
WBGTとは?気温だけでは分からない暑さの危険度
WBGTとは、Wet Bulb Globe Temperatureの略で、日本語では「暑さ指数」と呼ばれます。気温だけでなく、湿度や輻射熱などを考慮して、熱中症リスクを判断するための指標です。
たとえば同じ気温でも、次のような環境では体に熱がこもりやすくなります。
• 湿度が高い
• 風が弱い
• 直射日光が当たる
• 床や壁からの照り返しが強い
• 発熱する設備の近くで作業している
• 倉庫や工場内に熱がこもっている
• 空調が届きにくいエリアで作業している

WBGTを確認することで、「温度計の数値だけでは分からない暑さの危険度」を把握しやすくなるので、職場では、次のような判断に活用できます。
• 作業時間の見直し
• 休憩頻度の調整
• 水分・塩分補給の声かけ
• スポットクーラーや送風機の設置判断
• 作業場所の変更
• 作業中止や一時中断の判断
• 暑熱対策の効果確認
• 熱中症対策の記録・振り返り

暑さを「感覚」だけに頼らず、数値で見える化することが、職場の熱中症対策を進める第一歩になります。
WBGT計で暑熱環境を見える化
職場の熱中症対策では、「暑いと感じたら休む」だけでなく、暑さを数値で把握し、現場全体で共有できる仕組みづくりが大切です。
WBGT計の主な種類
・ハンディタイプ
作業者が身に着けたり、持ち運んだりして使用できます。現場巡回や一時的な測定、作業者の近くでの暑さ確認に適しています。
・据置タイプ
作業場や休憩所などに設置して、継続的にWBGTを確認できます。
・記録・出力ができるタイプ
測定データを記録し、パソコンなどに出力できるタイプです。日々の管理記録や安全衛生管理の資料として活用しやすくなります。
・ネットワーク対応タイプ
複数箇所のWBGTをまとめて管理できます。工場・倉庫・物流センターなど、複数エリアを管理する現場に有効です。

WBGT計の活用方法
・本体で確認する
測定場所でWBGT値を確認したり、本体から警告ブザーを出したりします。休憩や水分補給の判断に活用できます。
・記録データを管理に活用する
測定データを記録・出力することで、日々の安全衛生管理や作業環境の見直しに役立ちます。
・積層灯や表示器に出力する
WBGT値に応じて積層灯を点灯させたり、表示器に数値や警告を表示したりすることで、作業者へ暑さの危険度を分かりやすく周知できます。
・ネットワークで複数箇所を管理する
複数エリアのWBGTをまとめて確認し、工場・倉庫・物流センターなどの広い現場で一元管理できます。

WBGT計は、暑さを「見える化」するだけでなく、労働安全衛生規則で求められる熱中症対策を進めるうえでも、作業者へ危険をすぐに知らせる仕組みづくりに役立ちます。
WBGT計

黒い球は何のため?
WBGT計に付いている黒い球体は「黒球」と呼ばれ、太陽光や照明、炉、機械、床・壁からの照り返しなどによる輻射熱を測るためのものです。気温だけでは分からない、作業者が実際に受ける熱の負担を把握するうえで重要な役割を持っています。
熱中症対策商品は当社でも購入できます
当社では、WBGT計やスポットクーラー、空調服まで、用途に応じた熱中症対策商品のご相談・ご購入に対応しています。
近年の猛暑により、夏本番前から需要が高まり、早期に売り切れとなる可能性があります。導入をご検討中のお客様は、ぜひお早めにご相談ください。

<関連サービス>
真夏の暑さは、作業者だけでなく設備にも負担をかけます。
制御機器のリプレースサービスはこちら















